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大阪地方裁判所堺支部 平成4年(ヲ)409号 決定 1992年10月05日

申立人 甲野株式会社

右代表者代表取締役 乙山太郎

申立人代理人弁護士 勝部征夫

同 高橋司

相手方 株式会社 丙川

右代表者代表取締役 丁原春夫

相手方 株式会社 戊田

右代表者代表取締役 甲田松夫

別紙物件目録記載の建物に対する平成四年(ケ)第二六九号不動産競売事件につき、申立人から売却のための保全処分命令の申立があったので、当裁判所は申立人に対し、金一〇〇万円の担保を供させたうえ、次のとおり決定する。

主文

一  相手方株式会社丙川の別紙物件目録記載の建物に対する占有(占有補助者である株式会社戊田によって行う占有を含む。)を解いて、大阪地方裁判所堺支部執行官に保管を命ずる。

二  執行官は、その保管に係ることを公示するため適当な方法をとらなければならない。

三  申立人のその余の申立を却下する。

理由

一  申立人の本件申立の趣旨及び理由は、別紙「申請の趣旨、申請の理由」記載のとおりである。

二  申立人は、相手方株式会社丙川(以下、「相手方会社」という。)に対し、別紙物件目録記載の建物について、占有の移転又は占有名義の変更の禁止等を求めるものではなく、施錠して管理することを求めるものであるが、右申立は別途執行官保管並びに右保管に必要な適当な方法を求める申立の趣旨と相矛盾するものである。

次に、申立人は、株式会社戊田を相手方として、民事執行法第一八八条によって準用される同法第五五条二項の申立をなすものであるが、株式会社戊田は、相手方会社の単なる占有補助者であり相手方とはなし得ない。即ち、同条項は債務者、所有者に対し、その占有を解いて執行官保管を命ずることができる旨規定するが、既に債務者、所有者に対しかかる命令が発令された後、未だ執行官保管が完了せざる間に、他に占有補助者たる者のいたことが後日判明し、命令の実現を不可能たらしめるような場合はともかく、本件のような事実関係の下においては、株式会社戊田について、相手方会社の占有と一体となった占有補助者として認定し、独立した相手方とするには及ばないからである。

三  よって、前項記載にかかる部分を除き、申立人の申立てを相当と認め主文のとおり決定する。

(裁判官 塩田武夫)

<以下省略>

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